以前わたしはこんな記事を書きました。
みなさん、料理は好きですか?食べることは好きでも料理をすることは好きじゃないという人もいるでしょう。わたしは料理をすることも食べることも大好きです。わたしのこれまでの経験から、料理を趣味にすることは発達障害(ASD)傾向にある人に向いている[…]
発達障害を抱える人間の趣味ついて考察した記事です。
この記事の中でわたしが考えた発達障害(ASD)の人の趣味に必要な条件3つは以下の3点です。
- 一人で完結。自分のペースで出来ること
- 費用があまりかからないこと
- 幸せを何度も感じられること
我ながら、的を射た良いことを言うなぁと感心します。わたしが細々やっている羊毛フェルトもこれに当てはまります。
そして昨年秋、これに該当する新たな趣味を見つけてしまいました。
発達障害(ASD)の人の趣味に必要な条件をみたす新たな趣味とは?
それはずばり、冬の家庭菜園。
最初に取り組んだのは秋も深まった11月。わたしは庭にほうれん草の種をまきました。軽い気持ちで始めたのですが、やってよかったと心から思えるわたしに向いている趣味だったので是非ご紹介したくなりました。
冬の家庭菜園スケジュール(ほうれんそう)
今回のわたしの場合です。
11月・・・土作り・種まき
12月・・・ほぼ放置・雑草抜き数回
1月・・・たまに雑草抜き・間引き
2月・・・たまに雑草抜き・間引き、後半は間引き兼収穫
3月・・・たまに雑草抜き・間引き・収穫
4月・・・収穫
ほぼ、ヒマ。趣味に取り組んでいることを忘れるくらいヒマです。
冬の家庭菜園は上記で書いた
- 一人で完結。自分のペースで出来ること
- 費用があまりかからないこと
- 幸せを何度も感じられること
という3条件満たす上に、さらに2つも良い点がありました。
では、ひとつひとつの条件を、わたしの行動をもとに考察していきましょう。
一人で完結。自分のペースで出来ること
1人で土を耕し、肥料を入れて、種をまく。そして時々手入れをしてやる。やることはそれだけ。
土を耕すということだけにも、何日費やしたか分かりません。効率というものをまるで考えない野菜作り。
しかしこれは、あえての作戦です。いかに効率よく動くか?なんていうことを考えていると、疲れます(それが楽しいタイプの人はそうすればいいと思います)。農家じゃないんだから。
計画的にやればもっと上手に出来たかもとか、収穫時期が・・・とかそういうことはありますが、仕事ではないので、好きなように好きなだけやればいいし、やりたくなければやらなければいい。誰にも怒られません。もちろん結果についても、うまく出来ても出来なくても誰にも怒られません。
趣味でやってるのに怒られるなんて嫌だし。
費用があまりかからないこと
最初に買ってくる腐葉土などの土・肥料・種代等がかかります。最初に数千円はかかりますが、趣味代としてはかなり安い部類でしょう。
今回わたしがかかった費用は、種代が300円、石灰やたい肥、などを入れても3000円もかかっていません。もちろんこれは『やろうとする畑の規模』によります。
わたしの場合は小さい花壇の様な大きさでやりました。幅は1mもなく、長さは数mです。このくらいのミニサイズだと、準備にお金も時間もあまりかかりません。耕したり、雑草を抜くといった手入れも、ささっと気が向いた時にできます。
種まきから収穫まで約半年。半年遊べて数千円。コスパ良すぎ。
幸せを何度も感じられること
種をまく前は、どんなものを植えようか考える。植えるものが決まれば、それに見合った肥料とか育て方を考える。土をもくもくと耕すのも楽しいし、種を植えるのも楽しい。
種を植えてしばらくたてば、定期的にお世話に必要になります。目をかけてあげて、雑草を抜いたり、株間が狭いところは間引きしたり・・・とやっているうちに、どんどん大きくなってきます。自分が手をかけて、そして育つ。結果が目に見える→やる気が出る。
毎日見ると全然わからないけど、数日たってみると急に大きくなっていたりして、その成長ぶりには何度も目を見張りました。愛おしい。嬉しい。かわいい。楽しい。
ペットとか子育てとちがって反抗もしない。数日ほったらかしたって、文句も言わず、すくすく勝手に育ってくれます。その従順さがなお愛しさを誘います。
対象物が溜まらないこと
趣味はいろいろなものがありますが「物を作る・育てる」系の趣味はその対象物が存在します。長年取り組むとなるとこれがなかなかやっかいな存在となります。
わたしがやっている陶芸では、長く取り組んでいる方は「置き場所に困る」と皆が口をそろえていいます。「いつかわたしは食器に押しつぶされて死ぬんだわ」と言っている人もいたし、人によっては(使わない食器は)庭で割って捨てているという話も聞きました。
物は増えたら処分しなければならないのです。作った作品はどんどん増えるけれど、保管場所は増えません。むしろ、置くものが増えているのなら、置ける場所は減っていきます。
置ける場所が限られている以上、物を増やすことは限界があります。最終的には「捨てる」ということになるんですよね。
陶芸に限っていえば、「作った作品を人にあげる」ということも出来ます。そういう話はたくさん聞きました。でも実際のところ、もらっても喜んでもらえるかどうかは分かりませんし、他人と趣味がぴったりあうことなんでめったにないし、さしあげたその先で「邪魔者」になるかもしれない。やはり最終的には自分の手でケリをつけるのが一番です。つまり、処分する=捨てるということです。わかってはいるけれど、心苦しい。物を捨てるのは。
じゃあ作らなければいいか、っていうとそれも違う。楽しいから作りたい。でも捨てるのは忍びない。そんな矛盾が生じ、葛藤を生みます。現実問題、わたしなんて陶芸を始めてまだ数か月だけど既に置き場所に困っていますから。
しかし家庭菜園の場合は、対象物は野菜なので食べられます。つまり、物が増えません。作った物が増えて困る、増えて困るから趣味に取り組めないといった悩みは発生しません。農家なみに取り組む人なら「いっぱい野菜が出来過ぎて困る」という悩みも抱えるかもしれませんが、ちょっと取り組んでみようというレベルの話ですから、そんなことを思い悩む段階ではありません。
食費がちょっぴり抑えられること
野菜がいっぱい取れればその分外で野菜を買わなくていい。その野菜分の食費を抑えられます。もちろん食費の全体からみたら微々たるもの。しかし「塵も積もれば山となる」ですから、家庭の主婦としては甘く見てはいけないのですえっへん。
今回はほうれん草を育てましたが、なんとこの冬はスーパーでほうれん草を買っていません。
ほうれん草の種代は300円。スーパーで買うとほうれんそうは1束100円位なので、種代300円はほうれん草3束と同じ値段です。しかし当然ながら、種から自分で育てると、その300円はほうれん草3束よりもずっとたくさんのほうれん草を生み出します。
具体的にいうと、わたしはほうれん草はわりと好きな野菜で、ほうれん草とか小松菜といった葉っぱ野菜は毎週購入します。毎週3束は買っていましたから、2~3月で毎週買うとすると、2か月8週×3束(300円)=2400円かかることになります。
しかしこの期間はほうれん草を買わなかったので、2400-300=2100円の節約に成功したことになります。しかも庭の畑で、必要な時に必要な量を抜いて使えるのです。超新鮮とれたて野菜です。
とは言え単に2100円を節約できたわけではなく、土や肥料代もかかるし、土を耕したりといった労力もかかるので、それなら2100円払った方が良いわっ!という方少なからずいらっしゃることでしょう(わたしも以前はそう思っていました)。
いかに時間やお金をムダなく使うかとか、効率を求める場合には、家庭菜園は不向きだと思います。だって、種をまいてから半年後に収穫なんて、効率第一のヒトから見たら意味が分からないはず。「俺の人生にそんなムダな時間はねーよ!」と思うのではないでしょうか。
まとめ
今回は発達障害(ASD)の人の趣味に必要な条件をみたす新たな趣味として、冬の家庭菜園をご紹介しました。
一人で完結。自分のペースで出来ること
費用があまりかからないこと
幸せを何度も感じられること
物が増えない
食費が節約できる
+α:体を動かす→健康に良い
このように老後の趣味としては、どうひいき目にかんがえても最適かつ最強。
長い老後生活に向けて、今から取り組む価値は十分にあります。
このようにメリットだらけに思える家庭菜園ですが、次回は
- なぜ「冬の家庭菜園」なのか?
- 発達障害の人に向けて、家庭菜園で注意すべき点
についてまとめます。おたのしみに。