ハローワークの「発達障害の専門相談」を受けてみた

ハローワークで紹介された「ハローワークで行っている発達障害の専門相談」に行ってきました。どんな内容だったのか詳細を書きたいと思います。

相談の流れ

開始時間の少し前に「専門援助専用の窓口」の前で待っていると、担当の方が現れました。そして「別室へどうぞ」と言われ、後ろについて移動します。そこはとても狭い部屋で、小さいテーブルに椅子が二つ。向かいあう形で座ります。

始めに「今の状況とこれからどうしていきたいのか?ということについてお話していければと思います」というようなことを言われます。

そこからは、ずーーーっと雑談のような感じ。こんなことがあった、あんなことがあった、あんなことで困ったというような。

わたしが話したのはこんな内容です。

  • 人前に出ることが極度に苦手で、小さいころから全く慣れない。
  • 朝礼で前にでて話すことは難しい。
  • 怒鳴り合うような職場は苦手。
  • 高圧的な態度の人は苦手。
  • 小さいころから集団が苦手で、女子集団に入っていけない。
  • 大学生の時にはカゼで病院に行ったのにうつ病だと言われた。
  • 短期の記憶障害があって記憶が抜ける。
  • 玄関のカギ閉めや窓の確認を何度もやる
  • 台所で火をかけていたことを完全に忘れて、他のことを始めたり外に出て行ったりする。
  • コミュニケーションが苦手。
  • 保育士時代は、子どもの前で何かをやること、手遊びとか本を読むとかも困難だった(一人で黙々と作業をしたり、書きものをするのは得意だった)
  • 保育士時代は、イベントの司会とかルール説明とか、人前に出ることが極端に嫌だった(なんとかその日までに死にたいと思った)
  • でも仕事だし、嫌だと言えなかった。

わたしは、いわゆる自分語りする人間があまり好きではありません。そういう人に出会うと「なんでこの人、自分のことばっかりしゃべってるんだろう」「誰も興味ないのに」と思うし、聞いているのが苦痛です(苦痛でも聞いているふりは出来るので、ますます相手の話は止まらないし、聞いてくれる人認定されている可能性すらあります)。

ですので、自分が自分のことを誰かに話すこともほぼありません。だれも他人に興味なんてないでしょ?わたしが何に苦しんでるとか、どんなことがつらいのか、とかそういうの、人に話すことじゃないと思って生きてきました。だから、こんなふうに、自分の過去の体験とか、こういうことで困っているとかを他人に話すという行為が新鮮でした。さすがに「相談の場」なので、自分のことを誰にも遠慮せず話していいし、相手も聞いてくれることが分かっている場ですから、安心して自分のことを話すことができました。

そして「発達相談」ということなので、「こういうこと言ったら変に思われないだろうか?」ということも気にせずに済みました。何かしら変だから、来ているんですから。

オープンにするか?クローズにするか?

就職するにあたり、職場に障害をオープンにするかクローズにするか?という説明がありました。

オープン:障害手帳を持ち、障がい者として就職すること
クローズ:自分の障がいは明らかにしないで、就職すること

これらのメリットデメリットについて書かれたプリントをもらい、それを見ながら説明を受けました。内容をわたしなりに、より分かりやすくまとめてみました。

オープンの場合

メリット履歴書の経歴を正直に伝えられる

通院のための休暇を希望できる

ハローワークからの定着支援を受けられる

支援機関のジョブコーチを利用できる

障害によりできないことを、理解してもらえるので、職務内容や勤務時間などの配慮をしてもらいやすい

デメリット

 

障害に理解のある会社は(一般の会社に比べて)少ないので、探すのに時間がかかる

障害があると、面接を受けられないことが多い
(面接前に断られることも多いらしい)

職場内で特別扱いされることで、疎外感がうまれる

労働条件を配慮してもらっている分、給与は少ない。最低時給から始めるイメージで。

クローズの場合

メリット

 

障害者雇用よりもたくさんの求人があるので、就職のチャンスが多くなる

障害があることを知らせないので、特別扱いされているという気持ちにならない(特別扱いはされない)

デメリット

 

障害があることが、いつ周りに分かってしまうのかと不安を感じ続ける。

障害者の就労支援に関する制度を活用できない

仕事や職場に対する不安を一人で対処しなければならない

通院や服薬への理解はない(知らせないから)

年齢相応・職歴相応の仕事での成果を求められる。

職内容や勤務時間について、障害に対する配慮は受けられない。

わたしが相談をした方(50代くらいの女性)は、「障害があったとしても別に周りにいう必要もないし、自分にはそういう傾向があるということを分かっていればいいだけ」というスタンスのようで、障害をオープンにして障害者として働きましょう!という感じはありませんでした。

むしろ、わたしの話(これまでの就職でうまくいっていなかったことなど)を聞き、仕事をすすめるどころか「(わたしのような人は)家で趣味のことをしていてもいいと思うんですけどね」とさえ言っていました。ハローワークの人なのにこんなこと言うなんて、なかなか斬新です。

それでも少しは働きたい・就職したいという方向で話をすすめていったところ、転職を繰り返してしまう件については、いきなり就職せず面接の前にまずは見学し、さらに実習という形で数日とか数週間(給与なしで)働かせてもらい、大丈夫そうだと思ったらその先に進んだらいいとアドバイスされました。

手帳の貰い方について

次に、実際に手帳が必要で手帳を貰うとなったらどういう手順になるのか?どのくらいの期間が必要なのか?という話がありました。

初診から6か月が経過したら、手帳の申請の為の診断書を貰って手続きをし、その2か月にようやく手帳取得という流れとなるので、最短で8か月かかるそうです。

また、精神通院については自立支援医療という制度があるということを教えてくれました。これが認められると、通常医療費の自己負担3割のところ、指定した病院での精神通院に限って1割になるという制度があるそうです。そんな制度、全く知りませんでした。ただし申請には医師の診断書も必要だし、1回申請すればずっと使えるものではなく、有効期限もあるということです(2年)。

もし良い病院が見つかって「ここの病院に通院する」と思えたなら、すぐに自立支援医療の診断書をお医者さんに書いてもらうと良いということでした。その用紙は市役所にあり、手元に持っておくとすぐに出せて便利とのことでしたので、帰りがけに市役所で貰ってきました。

その他に言われたこと

・発達障害で障害手帳を貰っても、自分から言わないかぎり他の人に手帳のことを知られることはない。
・夫であっても、知られることはない。
・自分のプライバシーはしっかりと自分で守ることが大切。

アドバイスを受けて感じたこと

手帳を貰うか貰わないか?ということは、「どこかの職場に採用されて仕事をするにあたり、自分の特性について配慮が欲しいのかどうか?」がポイントであるということが分かりました。

ここ、重要な気づきでした。

障害がある人には絶対に手帳が必要ということではなく、あくまでも手帳は「本人が困っていて、その障害について仕事上で理解を求めたい時の証明書」となるものにすぎないということなのです。障害があったとしても手帳を貰わなくたっていいし、手帳を持っていてもその事実を誰かに教えなくていいんです。

そうであるならば、自分で仕事をしている人とか、家から出ない人等、「雇われ」という立場で仕事をするのでなければ、とりたてて手帳は必要なさそうです。

確かに自分が社長で商売をしているとしたら、「障害について配慮してくれ」と周りの従業員に手帳を見せて言う必要なんてないですもんね。

わたしのような専業主婦であれば、夫や家族さえその特性を理解してくれれば日常生活は送れるわけで、家族間で手帳を見せたって何の意味もありません。

今後雇われて働く可能性がある人は(手帳の発行には時間がかかるので)、早めに手続きを進めておいた方がいいかもしれません。

障害者雇用の条件

わたしは今のところバリバリ働く気はなく、もし仮に働くとしてもほんの短い時間で・・・と思っています。主婦メインの生き方をしたいからです。

どのくらい働けますか?と聞かれ、「少なければ少ないほどいいです。週2とか週3とか・・・」と伝えたところ、企業が障害者雇用をする時は「週20時間以上」という条件があると言われました。

つまり、週20時間以上働く場合でないと、障がい者としての配慮を得て仕事をすることは出来ないということです。ほんの少しだけ働こう、ほんの少しだけ社会と関わりを持とうというような場合は、障がい者雇用枠は無いので、あくまでも自分で「ここならやっていけそうかな」という職場を探さなくてはいけないのです。

これまで、そういった短時間パートでもダメだったんですけどね・・・。配慮がほしくて障害者雇用を目指すなら、「短時間パート」ではなく、「それなりにしっかり働く」という覚悟が必要なんですね。

ハローワークの発達障害相談について:まとめ

この発達相談はあくまでも「ハローワーク」が行っているものであり、ハローワークが行っている以上「就職する」人を対象にしているということを強く感じました。

就職するにあたって困っているから、相談する→どうしたらその障害を持ちつつ就職できるか?アドバイスを貰う、という流れです。

「発達障害があるから生きるのに困っている」というようなふわっとした相談は、病院に行ってカウンセリングなりで対処するものであって、ハローワークの発達障害相談では、もっと具体的に「就職」というキーワードが重要視されているように思います。

わたしへのアドバイスで、次の流れとしては「カウンセリングをやってくれる病院に行って、病名をもらってくる」ということでした。病名があったほうが具体的にすすめますもんね、と。

そして最後の方に「応援しますよ」と言われました。

ふと、この人が言っている「応援」ってなんだろう?って思ったのですが、それは「障害を抱えつつも就職する」ということについて、ですよね。「たくさん、仕事ありますよ」「大丈夫ですよ」とも言われました。

裏を返すと、就職する人しか応援してもらえないということです。何をどうしたら、どんな生き方をしたら、どんな考え方をしたらラクになれるのかとかそういうことではないんです。とにかく就職を目指すという。まぁ、そうですよね、ハローワークなんですから。

そしてこの相談の中でもう一つ心に残ったのは、仮に障害者枠でわたしを採用した場合、企業としては障害者を雇うことで補助金が貰えるし、さらに雇った障害者(わたし)が想定していたより仕事が出来る人間であれば、ほぼ最低賃金で安く雇える上に補助金ももらえてラッキーということなんですよ、という話。

なんか、すっきりしない。そうなんだろうけど。
だけどもうこれまで普通に就職してきて、困難なことがいっぱいあったわけだから、障がい者枠で働くという選択肢もあっていいのかもしれない。だけども、そう決意したところで障がい者という診断が降りない可能性もある。そしてまた、そこまで時間とお金をかけて障害者認定してもらってた上で社会に揉まれて苦しんで働くより、家で主婦業をやりたいというわたしもおり、よーーーーし、就職するぜーーー!!!という気もちには全くなれないのでした。

ただ、自分の人生に「障害者手帳をもらって、障がい者として働く」という選択肢はまったくなかったので、こういう生き方もあるのだという参考になりました。わたしが自分の発達障害を疑い始めたのがつい最近ですから仕方ないのですけれど、もしもっと数十年前にこういう自分の傾向に気づいていたら、取れた対策もあったのかもしれません。

無理して無理して、社会とかかわりあいながら健常者としてなんとかやってきましたが、理解が得られるような働き方があるなら、その方がいいいよなって思います。

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