自閉症スペクトラム(ASD)グレーゾーン人間に分かりやすい指示とは?

社会において発達障害および発達障害っぽい人々が決して珍しい存在ではなくなっている今、会社でも家庭でも、そのような人を相手にする機会はたびたびあることだと思います。

日常生活において相手に何かをお願いして、相手にそれをやってもらうことは多々ありますね。会社では上司から部下にいろんな指示があるだろうし、家庭では夫から妻に・妻から夫に・親から子に、などなど。いろんなことを人は他人に指示をしてやってもらいます。ですが、実は「言葉で伝えて、正確にやってもらうこと」ってけっこう難しいです。

簡単なことなら伝わるかもしれないし、相手がカンのいい人で『一を聞いて十を知る』ようなタイプだと、指示がまずくても真意をくみ取ってくれて正解の行動をとってくれるかもしれません。逆に指示は正確にしたはずでも、相手によってはその指示を捻じ曲げて自分なりに解釈して行動して、指示した側からすれば「なんでそうなるの?」ということもあるでしょう。ありますよね?ありますとも。

今日お伝えしたいのは、先日の夫からの指示が非常に分かりやすかったという話です。パートナーに発達障害の気質があって「言いたいことが伝わらないなぁ」という方がいらっしゃいましたら参考にして下さい。

 


その日、仕事に行っている夫からラインでこのような指示がありました。

確定申告用に家族4名のマイナンバー通知カードを1枚にしたコピーを10枚今日中に用意してください。
その10枚は俺の為のものなので、絶対に使うなという意味です。自分で使う機会があるなら、自分でコピーしてください。
この指示を読んで、
今日の指示は分かりやすい!
うれしい。
と思いました。そしてちゃんと行動できました。
これについて詳細を説明したいと思います。

1.確定申告用に
2.家族4名のマイナンバー通知カードを1枚にした
3.コピーを10枚
4.今日中に用意してください。
5.その10枚は俺の為のものなので、絶対に使うなという意味です。
6.自分で使う機会があるなら、自分でコピーしてください。
1.確定申告用に
何の為にやるのか?が明確に書かれているので、なんでそんなことをやらなきゃいけないの?と、もやもやせずに済みます。
2.家族4名のマイナンバー通知カードを1枚にした
『家族4名のマイナンバー通知カードをコピー』という指示なら、4人分を1枚に並べるのか、一人分は1枚にコピーするのか分かりません。4人分を1枚にコピーするならそれを10枚で4人分の情報を10枚分だけど、1人1枚×10枚を4人分なら40枚になります。
40枚はムダだから4人一緒にコピーしていいのだろうか?それとも1人ずつのコピーが必要な書類なんだろうか?と悩みます。「4名を1枚に」という部分、とても大事です。
マイナンバー通知カードの部分も、マイナンバーカードと書かれていたなら、家にあるものを見て『これには通知カードと書かれているから、これじゃない』と思うかもしれません。
わたしはセルシオという車にある『Celsior』という表記をみて、「あれはセルシオールと書かれているのだからセルシオではない」と思い込んでいた人間ですから、そのくらいのレベルの取り違えは当たり前にします。
そしてマイナンバーカードは持っていないからどうしたらいいのか?と行動が止まります。通知カードと丁寧に書かれていることで、間違いが起こりません。
3.コピーを10枚
『10枚くらい』ではなくて10枚という指示。10枚くらいという表現では、9枚でいいのかちょっと多めの方がいいのか分かりません。『ちょっと多め』も人によって受け止め方が違いますから、11枚がいいのか12枚がいいのか。それともこういう時、世間一般には常識的に15枚なのか。「指示している人にとって何が正解なのか?」が分かりませんから悩みます。もし、『10枚くらい』と書かれていたのなら、「なぜ『10枚』ではなくて『10枚くらい』と書いたのか、なぜそんなことでわたしを悩ませるのか、いやがらせなのか?」真意がわからなくてイラっとします。
4.今日中に用意してください。
期限があることで、今日やることなのだと分かります。この部分が無ければ、わたしは今日コピーには行きませんでした。やるべきことは分かっても『いつかやることなんだな』くらいにしか頭に入りません。いつかやることなんて3歩歩いたら忘れます。堂々と言うことでもありませんが。
期限の指示は大事。先の事を指示されても忘れるので、「ちょっと前もって知らせておこう」くらいの気持ちならいいけれど、絶対にやってほしい、やらなきゃいけないものは期限の提示が必要です絶対。
5.その10枚は俺の為のものなので、絶対に使うなという意味です。
過去、わたしがマイナンバー通知カードのコピーが必要な時、家でたまたまコピーを見つけたことがあるんです。せっかく見つけたのでそれを提出したところ、夫から「なんで使ったんだ」とかなり怒られたことがありました。
わたしはたまたま家に家族分のマイナンバーのコピーがあったから、何の感情も挟まずにただ使っただけなのに、夫にとっては「自分が使う為に、家族分のマイナンバーのコピーを用意していたのに、勝手に使われた」ということになるのです。わたしには全くなんの悪気もなく「ただ、そこに自分の必要なものがあったから使った」だけなのに怒られたのです。
ですから「絶対に使うな」と指示された上でのコピーなら勝手に使うことはないし、使わなければムダに怒られることもないので、わたしとしてもありがたいです。
6.自分で使う機会があるなら、自分でコピーしてください。
これは、「家に置いてあるコピーは俺のものだから使うな。必要な時は自分のものは自分で用意しろ」という意味です。ここまで明確に宣言してもらえれば、うっかり使ってしまうことも(言われないよりは)ないでしょう。
わたしが自分用でマイナンバー通知カードのコピーが必要になった時、そのコピーを見て「コピーが10枚もあるのだし、1枚くらいはここから使う方が、あるものを活用しているのだからムダがなくていいのだろうか?もしくは『ここから使う方がいい』とまではいかなくても、自分がコピーに行く時間がなかったり面倒な時は、1枚くらい貰ってもいいのだろうか?」などと悩まなくてよくなります。それは全部、ダメってことですから。
夫から何かしら文章で指示された時は、意味を取り違えないように何度も読んで確認しますが、あいまいな部分があるとそこに悩んでしまいます。夫からの指示に答えよう・期待に応えようと行動しても、それが夫の意図としない行動であったとすれば文句を言われるのは分かっているからです。夫は、「結果はどうであれ、期待に応えようとしてくれたことに感謝する」人間ではなく「言われたことを正確に最後までやる、なんて当たり前」な人間であるからです。社会人はそんなの当たり前だし、むしろ「言われたことをやるんじゃなくて、言われる前に自分で考えてやれ」の世界だと思いますけども、それはね。そういうのは得意不得意があるでしょう。
こちらとしては善意で夫の期待に応えたい・役に立ちたいと思ってやっていることなのに、頭から怒られれば「なんでやってあげているのに怒られないといけないの!」とムカつきます。そうならない為にも「夫が伝えたいこと」を正確にくみ取らないといけないので、その指示が分かりにくいと「なぜわかりやすく書いてくれないのか!」と、怒りが沸いてきます。
今回の指示は、わたしの受け取り方によって変わってくる部分が少なかったのでとても分かりやすかったです。さらに分かりやすくする為には、コピー用紙のサイズの指示もあると良かったです。なぜなら、今回は「夫はA4の用紙にコピーしたものが欲しいのだろうな」と予測してA4用紙にコピーをしたのですが、わたしなら(同じコピー代なら)出来る限り大きい紙にコピーするからです。どんな用紙にコピーするのかはその人次第です。わたしの場合は気分にもよります。コピーはA4が当たり前じゃない人間もいます。ですから、今回の場合で考えると、
確定申告用に
家族4名のマイナンバー通知カードを1枚にしたもの
A4サイズコピー10枚
今日中に用意してください。
その10枚は俺が使う分だから絶対に使うなという意味です。
自分で使う分は、自分でコピーしてください。
これが、わたしの考えを挟まずに夫の希望を正確に伝える指示だと思います。
相手が発達障害っぽい場合「このくらいは伝わるだろう」「このくらいは分かってくれるだろう」という常識は通用しないと思ったほうがいいです。
やってもらいたいことがある場合には、
どう読んでも1通りにしか理解ができない、
解釈の余地を挟まない、具体的な言葉で指示する
と、伝わる確率があがると思います。
「〇〇枚くらい」とか「いつでもいいんだけど」とか「ひまな時に」とか、あいまいな表現は出来るだけ避けましょう。緊急性も読み取れないし、むしろ相手の指示の真意をくみ取るのに時間がかかって、行動に移せなくなる可能性もあります。指示している側からすれば「なんでやってくれないの?」と思うかもしれないけど、指示されている側は「指示されていることを正確に読み取ろうとすることに精一杯」かもしれないのです。
夫に、妻に、子どもに「話が通じないな」とお思いの方、是非お試し下さい。
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