やけどから考える、短期記憶障害の対処法

やけどをしました。

やけどをした経緯とそこから学んだことを共有します。

わたしがどういう経緯でやけどをしたのかというと、

1.から揚げを揚げようとしていた
2.揚げたから揚げの一時置き場として、フライパンを使おうと思った
3.使おうと思ったフライパンが濡れていた
4.そのフライパンを乾かす為に、揚げ物をする鍋を置いた隣のコンロで火にかけた
5.揚げ物を始めた
6.揚げ物をするのにちょっと邪魔だったのでそのフライパンを動かした

↑ココです。ここでやけどをしました。直接的な原因は、熱したフライパンを手でガッツリ持ったことです。

こういう取っ手が取り外しできるフライパンで、その時は取ってを付けていなかったんですね。それでフライパンを手で直に持ってしまったのです。熱しているフライパンを手で持ったらやけどします。それは当然です。

ですからそれはいいんです。何が問題かというと「フライパンを熱していたことを、完全に忘れている」ということです。

年をとってくれば、人間いろんなことを忘れがちになるでしょう。認知症とか物忘れとかアルツハイマーとかいろいろありますけれども、だけどわたしの場合のまだそれらの症状が現れるにしては若すぎる。そろそろ認知症かしら?というような年齢では、まだないはず。

それに「認知症ならしょうがないよね」と言って放置できるような状況ではありません。40代主婦、育ち盛りの息子たちを抱え、毎日やることはそれなりにあります。食事だって大量に作るし毎日弁当も作るし、学校のことも含む子育て、家の掃除などなど・・・。

専業主婦だから、働きながら主婦をやっていた時よりはずっと時間的に余裕はあるけれども、それでもまだ「子育ても終わって、悠々自適の70代・80代」の世代と比較したら、毎日やることがいっぱいあります。

わたしは前々から「どうも、わたしはひどく忘れっぽいな」とは思っていたのですが、どうも「ちょっとした障害」レベルだということに気づいたんですね、数年前ぐらいから。

「ちょっと忘れっぽい」くらいであれば笑って済ませられることも、それが頻繁に起こるようになると、自分自身のストレスも溜まります。相手のあることであれば、その相手に迷惑をかけることにもなるし、迷惑をかけたのであれば相手に謝らないといけないけど、自分自身だって迷惑してるっていうね。むしろ自分が一番迷惑してるよね。

なので「忘れてしまうこと」を前提に、これからの人生をこの短期記憶障害とどう向き合っていくのか、ということを考えました。やけどを負ったからにはそれに対処する方法を考えなくてはいけません。

健常者であっても「うっかりミス」はありますね。「うっかり熱いナベをつかんでしまった」「うっかり熱いフライパンに触ってしまった」なんていうミスは誰にだってあると思います。だから、そこはそんなに掘り下げることじゃない。
もし周りにそういう人がいたら「うっかりすることってあるよね。危ないから気を付けてね」と言ってあげるだけです。

現に、まんま同じ状況でやけどを負った人が2か月ほど前にいたのですが、その方には「そういうこと、ありますよねぇ。わたしもあります。どうぞお大事にして下さいね」と言ってあげました。これでいいんです。この程度でいいんです。

しかし我々の場合は、それで終わらせることはできません。何度も書いていますが、問題はうっかりミスではなく「完全に記憶をなくす」ことだからです。フライパンを熱していたことを「忘れる」のもレベルがあり、「うっかり忘れちゃった、てへへ」ではなくて「がっつり思いっきり、無かったかのように忘れさる」という状況です。もはやテヘヘと笑ってすむ場合ではないのです。

これに対し、「熱いフライパンを持ってやけどをしたのだから、これからは熱いフライパンは触らないように気を付けよう」と思ったところでムダです。

熱いフライパンを持ってやけどを負ったわれわれに対して

何やってんの?もっと気をつけないと危ないよ。
注意力が足りないからそうなるんでしょ。
などとアドバイスしてくる人がいたら、それは検討違いも甚だしい。
これ、わたしが夫から言われ続けたことなんですよね。
「注意力が足りない」「気を付けていないから、こうなるんだ」「気を付けていれば、こんなふうになりようがない」などと言われ続けていました。でもそういう問題じゃないんです。いくらそう言われたって、それを機に注意力がアップするわけではないし、改善することは何もない。気を付けていられるのは、その問題が起こった後の2.3回くらいのものでしょう。
同じ失敗を繰り返すので「反省していないのか?前も同じ失敗したじゃないか」とも怒られます。なぜ同じ失敗をするのか、理解はされません。しかしですね、反省していないわけじゃないんですよね。もちろん反省はしているんだけど、その注意力は続かないんです。
あとは、記憶が飛んじゃうということ。キレイさっぱりと。「あー、そういえばフライパンを火にかけてたっけ」ではなく、完全に頭からなくなっている。やけどをして初めて思い出したのです。だからやけどしていなかったら、フラインパンは(煙が立ち込めるとか異臭がするといった、向こうからのアクションが起きない限り)ずっと熱されっぱなしになっていたでしょう。
これに対してわれわれはどう向き合っていけばいいのでしょうか。
まず最初に断っておきたいのは、「ただ単に注意力をあげればいい」という方向での対処はムリだということ。これは、出来ないことをただ強引に「やれ」と強制しているだけなので、何の解決にもならない。
わたしは自分の過去の行動から、記憶が飛んでしまいがちなのは「何かをしている時に、さらに別の何かをする時」だということに気づきました。「今やっていること」だけに脳が集中するので、それ以外のことは頭から出て行ってしまいます。
やけどをした時、わたしは左のコンロで揚げ物をしており、揚げ物をすることに集中していました。その少し前にフライパンを火にかけたわけだけど、揚げ物を始めたことで「揚げ物をする」という行動が上書きされたので、「フライパンを火にかけた」という行動はわたしの中からなくなってしまいました。だから揚げ物をするのにちょっとじゃまだったフライパンをどかしたいという思いだけでフライパンをどかそうとした。
そこに「そのフライパンは熱いかもしれない」「フライパンを持つなら、ちゃんと取ってを取り付けた方がいい」とかいう思考が入り込む余地は全くなかった。ただ「どかしたい→即どかした」にすぎません。
このように何かをしている時に別の何かをかぶせると、新しい「今やっていること」に脳が上書きされるため過去の取り組みを忘れます。故に「同時進行で数種類の物事を進める」のは難しいのです。
同時進行で物事を進める=マルチタスクというヤツです。
マルチタスクというのは、複数の作業を同時に、もしくは短期間に並行して切り替えながらやっていきます。主婦が行う家事は、ほぼこれに当てはまると思います。
子どもの相手をしながら洗濯物を干し、掃除をしながら今日の夕飯のメニューを考え、右のコンロで味噌汁を作りながら左のコンロで炒め物をする。振り返ってみると、同時に複数のことをやっていることが非常に多い。
このマルチタスクと反対なのが、シングルタスク。シングルタスクとは、マルチタスクとは逆で、ひとつの物事を集中して行うことをいいます。

マルチタスクの方がいいとか、シングルタスクの方が優れているとか、どちらかが絶対に善とも悪とも言えません。何においても、メリット・デメリットがあります。なんとなくマルチタスクの方が一度にいろんなことをこなせてカッコヨロシイような気がしますが、取り組んでいるうちの何かがお粗末になってしまうのであれば全然カッコヨロシクナイので、やめた方がいい。

忙しく主婦業をしていく中で(外で働いている主婦ならなおさらですが)、どうも現代の生活は全体がマルチタスクになりがちな気がします。みんな忙しいからね。一度にあれもこれもとなってしまいます。

これでうまくいくならいいんですよ。マルチタスクな生き方が合っていてうまく出来るならそれでいいんです。マルチタスクでもシングルタスクでも、自分と相性が合うほうを選べばいいですから。

もうおわかりだと思いますけれども、わたしはあまり器用ではありませんし、物事を次々と忘れていきますので完全にマルチタスクには向いていません。自分のキャパシティは広くありません。ようやくわかってきたことですが。あれもこれもと同時にこなせるタイプではない。

わたしのように、短期記憶障害がある人間はシングルタスク型の生き方をした方が生きやすいだろうと思います。今に集中するということです。

何も、シングルタスクがダメということではないですからね。いろんなことを同時に抱えると、うまくできなくて自分が痛い目を見ることになりますし(まさしく今回のヤケドのように)、自分が痛い目にあうだけならいいけれども、他人にまでその被害が広がる可能性大です。これがまだ家族ならなんとかなりますが、仕事となると目も当てられません。本当に大変です。

1年前にやめた仕事では、わたしはつぎつぎと自分が取り組んでいる仕事を忘れてしまう上に自分一人だけで人事をやっていたし、会社の機密情報を扱っており、その緊張感は半端ないものでした。重要な書類がどこに行ったか分からないということもしょっちゅうあり、今振り返ればそれはわたしには完全にキャパシティオーバーな仕事でした。

大事なのは、自分の性質を理解し、それに合ったやり方をすること。

マルチタスクでも、シングルタスクでもいいのですが、ことわたしのような短期記憶障害を抱えている人間の場合には、出来る限りシングルタスクで取り組んだ方が良い結果につながると思います。

マルチタスクでやらざるを得ない場合もありますけれども、料理に関しては火を扱っていてマジで危険。失敗=やけど・火事など命に係わる大事になりかねないので、料理に関してだけは出来る限り時間が許す限り、シングルタスクでとりくんでゆく方がいいかもしれません。料理に関して特に気を付けたいことはこの二つです。

1.包丁を使っている時

包丁に集中することが何より大事。意識を集中していないとその瞬間に、どうでもいい考え事が頭になだれ込んできます。そうすると包丁を使っていることが頭から抜けてぼんやりしてしまいがち。気を抜くと指を切ります。

2.火を使っている時

これが一番危ないのですが、火を使っている時は火にかけているフライパン・鍋の前にいる。当たり前のようで意外とできていなかったりします。フライパンや鍋で何かをしながら、他の作業をすることって非常に多いですよね。

しかしわれわれは、火を使っているのに後ろを向いてサラダを作り始めたら、もう火のことは忘れるものだと思いましょう。火を使っていることに神経を傾けましょう。同様に、フライパンに火をかけているのに洗い物をするも✕です。洗い物をするのもサラダを作るのも、同じキッチン内ではありますが、そういう問題ではなくて、火に意識を集中するということが大事です。

これを出来ないと、ぼんやりとして火をかけっぱなしでも忘れてしまい、外に出て行ってしまいます。わたしは実際にすっかり忘れてゴミ捨てなどに行ってしまうこと数回。ほんとに危ないと自分でも思います。

なので火を使っている時は、ずっとコンロの前にいて他のことは一切しない・火を見つけ続けるくらいの意識が必要だと思います。


料理中は同時進行でいろいろと作ろうとしてしまいますが、今後は出来る限り1品ずつ丁寧に取り組みたいと思います。急いでやってもロクなことがありません。もちろん1品ずつ作るとなると時間がかかりますが、おおごとになるよりはマシですね。

自分の特性を考えたら、急いだり焦ったりするとイライラするし、食器を割ったりして余計な手間も増えるし危険も増えるしでいいことがありません。料理に関しては(火を扱うから危険なので)時間をかけられるように、一日の時間を使い方を見直そうと思います。

いかに効率よく物事を進めるかか、ではなく、どうやったら1日の中で必要だと思うところ(今回だと料理をすること)に時間をかけられるのか?を考えた方が、われわれの人生の効率はあがるような気がします。

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